公益資本主義と株主資本主義

公益資本主義と株主資本主義 ライフ

資本主義の基本とは?

資本主義とは、基本的に企業がお金を借りて
純負債(赤字)を増やし、資本を投じることで
成長していくという経済モデルです。

資本を投じるというのは
設備投資であったり、人材投資・技術投資などの
投資を行うことですね。

これで企業は成長していくんですが
現在の日本の企業は、株主資本主義となっているんですね。

株主だけを優遇していくという
欧米型の資本主義というか新自由主義です。

企業の現状

2022年現在、日本の企業は内部留保を増やしまくっています。
下のグラフを、ご覧ください。

1997年以降、非金融法人企業の現預金の推移ですが
2012年までは、多少上下しながらもあまり変わっていません。

ところが、2012年の末に第二次安倍政権が発足したあと
明確に上昇傾向が見られますよね。

ただ、このグラフを見て、現預金を増やしてるから
設備投資してないんだろうとは、なりません。

というのは、設備投資を行った場合
支払先が企業になりますから、企業から企業に預金が移っただけ
ということなので、民間非金融法人企業の現預金は減りません。

これは、つまり投資を行っていたとしても
人件費には、使われてないということです。

人件費に使われた場合は、企業の現預金から国民の現預金に移り
このグラフ上で、現預金が減るからですね。

ちなみに、人件費に含まれるものは
従業員給与・従業員賞与・役員報酬・福利厚生費

企業は、投資しているのか?

では、企業は投資をしているのかを見てみましょう。

上のグラフは、資本金十億円以上の企業の
売上高・経常利益・配当金・減価償却費・人件費を
1997年を1としたものです。

黄色の減価償却費というのが投資です。
ほとんど横ばいですね。
投資してないってことです。

売上もほぼ横ばい、経常利益は増えてますね。
で、一番増えているのは配当金です。

経常利益が増えても、人件費などには回さずに
配当金を増やしているということです。
まさに、株主資本主義ですね。

日本は、元々が公益資本主義だった!

元々の日本は、公益資本主義でした。

企業は、ステークホルダーのことを考えた経営を行ってきました。
ステークホルダーというのは、利害関係者のことです。

利害関係者というのは、取引先や従業員や地元の地域など
様々な関係者のことですね。

政府も国家全体のことを考え、銀行全体が発展するように
護送船団方式という形をとり
大蔵省を先頭に各銀行をコントロールすることで
過激な競争が起きないようにやってきたという歴史があります。

どこが転換点だったのか?

そして、株主資本主義となった
最大のきっかけは、バブル崩壊です。

そもそも、バブル景気というのは金融市場での問題であって
僕らの生活の場である、実体市場は関係なかったんですね。

ところが、バブル崩壊を期にスッと入り込んできた人達がいました。
その人達は、日本の構造自体に問題があるんだといい出したんですね。

2000年代初頭の小泉政権は、まさに
構造改革を声高に叫んでいましたね。

日本の企業は、公益資本主義で
様々なステークホルダーのことを考えて
株主を批判することはないじゃないかと。

実は、戦後の財閥解体の後から「株式持ち合い」が始まりました。

株式持ち合いというのは、
2つ以上の企業がお互いの株を所有し合うことです。
そうすることで、次のようメリットがあります。

  • 経営権の取得
  • 安定株主の形成
  • 企業の集団化
  • 企業間取引の強化
  • 敵対的買収の回避

1960年代の資本の自由化の中で、
外資による企業買収から逃れるなど
企業が他の企業と協力して様々な危機から
お互いを守ってきたんですね。

それでは、我々が儲からないじゃないかということで
「日本の構造が問題なんです」といい出した人達がいて
その代表が竹中平蔵なんです。

竹中は、小渕内閣に近づき
◯◯委員会という内閣府の有識者会議に入り込み
その後、小泉内閣で内閣府特命担当大臣として
金融担当を兼務するようになりました。

そして、郵政民営化などによって、ゴールドマン・サックスなど
アメリカのウォール街の連中が儲かる構造に変えていきました。
これらは、すべて改革の名のもとに行われたんです。

経済の知識が豊富な方々が、竹中平蔵を嫌う理由でもありますね。

この頃、不良債権問題などの問題も持ち出され
銀行の統廃合も起きた時期でした。
そこで、様々なビジネスが生まれ
ゴールドマン・サックスなど外資が入り込んだんです。

僕は、すでに20代で社会人でした。
銀行の統廃合の記憶はありますが、経済については
まったく無知だったため、何が行われているのか
興味・関心もなく世の中を見ていました。
お恥ずかしい限りですが。

そして、小泉政権末期の日本では株主が儲かるような
株価至上主義的な考えになりました。
企業は、株価を気にして経営すべきだと。

バブル崩壊で自信を失った日本の経営者達は
どんどん株価を気にして、株価が上がる経営に転じていきました。

株価が上がる経営ということで経費を削るため
まず、リストラが始まりました。

竹中平蔵は、正社員は既得権益だと言っていましたからね。

株主資本主義の象徴

株主資本主義的経営の象徴が日産のCEOを務めた
カルロス・ゴーンが有名ですね。

出典:wikipedia

ゴーンは、いわゆるコストカッターです。
コスト削減だ、社員はコストだとリストラを行い
すっごく評価されましたよね。

人件費を削りまくったんですよね、彼は。
人件費を削るということは、人々の人生を潰していくということです。

人の人生を潰していくような人間が評価されていたという
今考えると、とんでもない社会ですよね。

人の人生を潰して、株価を上げていき
株主だけがハッピーになるという
まさに、株主資本主義の権化のような人間
それがカルロス・ゴーンだったということです。

デフレは人の心も蝕む

日本では、1997年橋本龍太郎内閣から
デフレに陥ったわけですが
デフレは人の心も蝕むんですね。

国民全体が無気力なってしまい
まあ、世の中こんなものだよなぁと
そいう空気感に包まれて20年以上が経過して今です。

無気力になると人間って怒りというものが
湧き上がってこなくなります。

今の日本人の多くは、怒らなくなったと思いませんか?

海外では、デモなども起こっていますが
日本では、社会運動なんか起きるわけもないんです。

個を見て全体を見失う

コストカットによって、その企業自体は利益が上がるでしょう。
それによって割りを食うのは、社員であったり取引先であったり
社会全体なんですね。

これが株主資本主義なんだということです。

個人の利益や個人の幸せなどなど、個人のことも大切ですが
全体のことを考えなくなった今、どんな社会になっていますか?

株主資本主義と公益資本主義
果たして、あなたはどちらが国民にとって
素晴らしいい国家を形成できると考えますか?

正しい経済の知識や正しい歴史認識は
今の日本人には、特に必要なものだと思います。

拙い文章ですが
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。

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